その2.鍵盤&アクションの仕組み

奏者が鍵盤を押して初めてアクションに生命が与えられます。
キイが沈むとその力がアクションを通してハンマーに伝わり、 梃子(てこ)の原理でより強い力となって弦を打ちます。
鍵盤 以前は白鍵は象牙、黒鍵は黒檀の薄板をのりづけして作られたましたが、 現在はプラスチック材で作られています。キイの沈む深さは約10mm、重さは48-58g。
羊毛を圧縮したフェルトが10tもの力でハンマーウッドに巻きつけられています。
美しい音色を生み出す為、フェルトの表面は柔らかく、内部は硬く作られています。
音が高いほどハンマーは細く、低くなるにつれ太く丸くなります。
ハンマー ハンマーが弦を打ち、弦振動を起こして初めてピアノの音が生まれます。
直接音と関わる部分なので、音色、音量、音のバランスの要となる重要な役割を果たします。

全ての鍵盤には一鍵につき70個近くの部品からなる精密なアクションがついています。
アクションの果たす重要な役割を理解するために簡単な実験をしてみましょう。

スプーンの実験 スプーンの実験
スプーンで机を打ったまま止めてみます。
押し潰したような音がし、すぐに消えてしまいます。
今度は打った瞬間に手をはねあげるように上げてみます。
すると音は長く延びて響きます。

振動が長く延びるためにはすばやく元にもどる、つまり逃げなければなりません。
スプーンをピアノのハンマーに、机を弦に置き換えてみましょう。
ハンマー
ハンマーが弦をたたくと同時にその弦を振動させるためにハンマーは逃げていきます。 このようなハンマーの急速な引きもどしのことをエスケープメント(=逃げる)アクションといいます。
このアクションにより、ハンマーが弦に接触する時間は中音部で1/1000〜2/1000秒となります。

アクション

ダンパー ダンパーは音を消す部品で、ダンパー・ワイヤーの頭についています。
鍵盤を押すとハンマーが弦をたたいて振動させるのと同時に、ダンパー・ワイヤーを持ち上げ、 逆に鍵盤をはなすと、ダンパーがおりて弦の振動を止めます。それで鍵盤から手を離すと同時に音が消えるのです。

その3.ペダルの効果

名称 ペダルを踏んだ時の状態 効果
ダンパーペダル(右) ダンパーがいっせいに弦から離れて戻らなくなるため、打鍵後キイから指を離しても弦の振動が長く続く。 他の弦にも共鳴し、音量が大きくなると同時に響きが豊かになる。
シフトペダル(左) 鍵盤とアクションが右へ少しスライドします。
三本弦を打つハンマーは二本だけを、ニ本弦を打つハンマーは一本だけを打つようになります。 もともと一本弦を打つハンマーも普段は弦を打たない、端の柔らかい部分で打つことになります。
全体に音量が減り、音色は柔らかくなります。
ソステヌートペダル(中央) 近代作られた機能。 押したキイのダンパーだけが弦から離れて戻らなくなる。 にごった音にならず、特定の音だけを響かせながら他の音は通常のスタッカートで弾くといったことができる。

リラ ペダルの動きをアクションに伝える部分をリラといいます。もともとリラ(縦琴の意)の形をしていたのが その名前の由来です。

つづく
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