ダブルエスケープメント・アクションとは
キイを押さえるとアクションの複雑な動きでハンマーがまたたく間に支持機構から離れて弦を打ち、はね帰るしくみ。
このアクションの開発によりキイの連打が可能になりました。
交差弦
もともと弦は全て平行にはられていましたが、
弦を交差させ、低音用の巻線を重なり合わせることでより美しい響きが生まれました。
もともと文学上の1派から始まったロマン派の音楽は、喜びと悲しみ、情熱とやさしい心、
溢れる元気と絶望など、人の心のあらゆる感情を表現しています。
作曲家達は自分自身を”音の詩人”と考え、ノヴェレッテ(短編小説の意)、バラード(詩)、アルバム・リーフ(小品集)といった
文学的な題のついた作品をかきました。特にR.シューマン(1810-1856)は
「ゆうべに」「夢の幻想」「子供の願い」のように標題的な着想に基づいた小品を多くかき、さらにそれらを
まとめて「蝶々」「子供の情景」のように全体としての題をつけました。
このような”性格的な小品”は形式にしばられることもなく、自由にあらゆる気分や感情、幻想を盛り込むことができたので、ロマン派の作曲家には好んで用いられました。
一方、ダイナミックで男性的な性格を持つソナタは作曲はされたものの次第に衰えていきました。
しかしフランスとポーランドの気性を半々に享けたF.ショパン(1810-1849)は二つのソナタで古典的なソナタ形式をとりあげ、
演奏の妙技をはなやかに駆使し、感動的な作品に仕上げています。またバラード、スケルツォなどにも彼の情熱的な心が非常に表れています。
ここで19Cの和声の発展にショパンが果たした役割について触れてみます。
その1.半音階的な和声への発展
全音階的な和声が一般的だった古典派の音楽ではそれの使用により目新しい印象を与える半音階的和声も
ショパン、リストにとってはありふれた手法になった。
その2.急速に変化する和声を頻繁に用いる
古典派の音楽では和声は1小節ごと、半小節ごとに変化し、時には2小節間も変わらないこともあったが、
特にショパンの曲では旋律の各音符毎に和声が変化するということが非常によくみられる。
39年という短い生涯の中で数多くのピアノ曲を残したショパン。多彩な音色と甘美な旋律、幻想的なピアノ独特の歌で我々を魅了する 彼の音楽には情熱的な感情はもとより、このような作曲技巧も盛り込まれているのです。
ショパンが愛用した楽器は?
「私は身体の調子が悪いときはエラールのピアノを弾く。
なぜならなんの努力もせずに素晴らしい音が出るから。
しかし気分がよくて体力があるときは、思いのままに個性的な音が出せるプレイエル
のピアノを選ぶ」とショパン自身が語っています。
長生きしたため、ロマン派の初期・中期にわたって活躍したF.リスト(1811-1886)は、
例えば「超絶的技巧の練習曲」という題名が表すとり、超人的な技巧を駆使したピアノ曲を精力的に残しました。
このような作曲は近代ピアノ技巧の発達の中心になったといえます。
彼自身の演奏もまた豪快で、ピアノ製作の技術が急速に進歩したとはいえ、
リストのけたはずれのテクニックとすさまじいタッチに耐え切れるピアノはまだまだ
少なかったようです。それがさらにピアノアクションの強化へとつながったといえます。
リストは晩年は神父になり、ブタペスト音楽院の校長を務め、教育者として貢献しました。
その頃愛用したピアノとして、ベーゼンドルファーとべヒシュタインが残されています。